ミニマムなデザインをどのように使うかのポイントは、人の住まいが良いヒントになります。
オフィスも住まいも、人が時間を過ごすのに最適化された設計になっています。いずれもミニマリズムのデザインのように見えますが、よく見ると所々まったく逆のアプローチをとっているのが分かります。オフィス(写真左)は建築の構造そのものが剥き出しになっているかのような機械的な装いに対し、住まい(写真右)は家を支える金属部分を手触り感がある壁紙によって覆い包まれています。機能的な照明だけに留めているオフィスと、暖かさを演出するために照明が置かれている住まいとでは光の印象が違います。働く場所と家族と時間を過ごす場所が、デザインによって明確に分かれている一例といえます。 装飾によってコンテンツの邪魔をさせないというデザインアプローチは、スクリーンが小さいデバイスには有効な手段です。しかし、それによってアプリケーション/サービスそのものの性格を失い、利用者との関係を築くのが難しくなる可能性もあります。 ディーター・ラムスの良いデザインの原則がひとつの答えだと思います。彼のデザインは素材を活かしたミニマムなプロダクトをデザインし続けてはいたものの、彼の信念には「正直」であることが根底にあります。これは使う素材に正直であれという意味だけでなく、使う人たちへ正直であれと伝えたいのではないでしょうか。人に正直であること、それは変に装ったり、格好つけたものではなく、製品と人が素直に付き合える状態なのだと思います。 人を正直に繋がるために必要となる感情は何なのでしょうか。
それは携わっているプロジェクトによって異なると思いますが、デザインについて話し合う起点になりそうです。何もかも Less(削ぎ落とす)ではなく、人との繋がりをどのように残していくのかが課題になるでしょう。